大判例

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富山地方裁判所 昭和25年(行)4号 判決

原告 酒井義雄

被告 富山県知事

被告 宮川村村長

被告 宮川村農地委員会会長

一、主  文

原告の請求はこれる棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、請求の趣旨

原告は、一、昭和二十四年九月九日付富山縣中新川郡宮川村農地委員会の最初の会議の招集は無効である、二、右宮川村農地委員会のなした爾後一切の決議は無効であることを確認する、訴訟費用は被告等の負担とするとの判決を求めた。

三、事  実

被告知事は昭和二十一年勅令第五百五十六号農地調整法施行令附則第五項の規定に違反して、昭和二十四年八月二十日付中農第四百八十五号を以て宮川村農地委員である被告寺林を宮川村農地委員会の最初の会議の招集者に指名した。それで被告寺林は農地委員の地位において、昭和二十四年九月六日付書面で宮川村農地委員寺林覚平外九名に宛て同年九月九日午後二時より宮川村役場において同村農地委員会の最初の会議を開催する旨の通告をなした。かくて宮川村農地委員会の最初の会議としては無効であるものを最初の会議として成立させ、被告村長は前掲規定に基く最初の会議の招集をなさず、その後会議を重ねている次第であるから請求の趣旨に記載のような判決を求めるものであると陳述した。(立証省略)

被告等訴訟代理人は、本案前の申立として原告の訴を却下するとの判決を求めその理由として、本訴は原告において確認の利益の主張をなさないから結局訴訟要件を欠く不適法のものであると述べ、本案については主文第一項同旨の判決を求め答弁として、原告主張の昭和二十四年九月九日開催の宮川村農地委員会々議は、農地調整法施行令附則第五項に謂う所謂最初の会議ではない。右規定は経過規定であり最初の会議とは同施行令施行後最初に行はれる会議を意味しその後農地委員総選挙後最初になされる会議を意味しないから、原告主張の会議は昭和二十四年法律第二百十五号農地調整法の一部を改正する法律第六條第一項及び同年政令第二百二十四号農地調整法施行令附則第二項による農地委員総選挙後の初会議ではあるが、宮川村農地委員会としては第二十回目の会議である。仮に原告主張の如き最初の会議であるとしても、右規定は便宜上の経過規定で被告知事が農地調整法第十五條第二項及び同施行令第四十七條の規定に依り監督上会議の招集者を指名する権限を排斥するものではないから当然無効と謂うことができない、よつて原告の請求はすべて失当であると述べた。(立証省略)

四、理  由

本訴は、被告等三名に対し宮川村農地委員会の最初の会議の招集は被告村長が之をなさねばならないのに、被告知事の指名に依り無権限者である被告寺林が右議会を招集したのであるから該招集の無効であること並びに爾後同委員会のなした一切の決議は無効であることの確認を求めるというのであるが、確認の訴を提起するには当事者間の権利関係を確定するにつき法律上の利益ある場合に許されるものと解すべきところ、農地委員会の会議の招集又は爾後同委員会のなした決議によつて直接権利義務に関して影響を受けるのは、委員会に出席して権利を行使し得べき地位にある者のみに限られるものと謂うべく、原告は右委員会に出席して権利を行使し得べき地位にあることその他委員会招集又はいかなる具体的決議の無効を確定する法律上の利益の存在について何等主張をなさないから之を認めるに由がない。

よつて原告の本訴請求を失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九條を適用し主文の如く判決する。

(裁判官 羽田秀雄 渡辺門偉男 千場義秋)

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